田中康夫の「だから、言わんこっちゃない!」Vol.260『安倍さんを苦しめるエセ「保守」マンセー諸君Part1 贔屓の引き倒しな「承詔必謹」を改めよ!』

 

4月11日放送「オピニオンCROSS」は首都圏以外の全国・全世界の方々も以下、エムキャス「見逃しヴィデオ・オン・デマンド」ページにて4月14日まで3日間ご視聴頂けます。

https://mcas.jp/movie.html?id=749815351&video=269528

 

 2018年4月11日 TOKYO MX モーニングCROSS 田中康夫 ~詰将棋 はたして詰むや 詰まざるや~疾うの昔に見えていた「政事の着地点」

2018年3月30日 TOKYO MX モーニングCROSS 田中康夫十七条憲法第三条が謳う「承詔必謹・しょうしょうひっきん」👑 大日本帝国憲法➡敗戦➡現在❣ 三度に亘る牽強付会な解釈変更の悲劇 😹

田中康夫の「だから、言わんこっちゃない!」vol.269『脱・「第4の承詔必謹」を! 「逆命利君」の欠片もない夜郎自大な面々を嗤うw』

田中康夫の「だから、言わんこっちゃない!」Vol.261『安倍さんを苦しめるエセ「保守」マンセー諸君Part2 忖度しすぎな「承詔必従」を改めよ!』

田中康夫の「だから、言わんこっちゃない!」Vol.260『安倍さんを苦しめるエセ「保守」マンセー諸君Part1 贔屓の引き倒しな「承詔必謹」を改めよ!』と題してお届けをいたします。

昨日もこちらのフリップをお見せしました。

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「承詔必謹・しょうしょうひっきん」です。これは以前私が作ったものでですね、なんとなく皇室であったり、天皇であったりのカラーかなと思ってこれを選んだんでございますけど、なんと不勉強で、そうではなかったんですね。こちらのフリップを番組で使いました。

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この色合い、これはですね「黄櫨染御袍・こうろぜんのごほう」という色合いなんでございます。これは平安時代以降のですね日本の天皇が重要な儀式の際に着用するですね、装束の色合いのことなんでございます。「黄櫨染」という染めでございましてですね、樹皮から作られて赤みがかった黄色ということで、このフリップを使わせていただきました。

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「承詔必謹・しょうしょうひっきん」、これは何かと言うと、十七条憲法、十七条憲法聖徳太子、などと今は教科書で言わないなどと言って、厩戸皇子(うまやどのみこ、うまやどのおうじ)だとかですね、もともとこの十七条憲法聖徳太子とか厩戸皇子などという人が作ったわけではないとか、いろんな学説が出てきてると、それに右往左往してるわけでございますけれども、これもエセ「保守」の人たちは「しっかりせい」と、「日本の歴史の大本のところがそんなに揺らいでていいのか?」と。そんなことを言ったらですね、イエス・キリストだってモハメッドだってですね、本当に実在してたかどうか、クレオパトラだってっていうことはわからないかもしれませんけど、少なくともきちんとそういう部分の日本の歴史もですね、確定していないというところが謎なわけでございます。この十七条憲法の第三条に「承詔必謹」という言葉が出てまいります。これは「詔(みことのり)を受けては必ず謹(つつし)め」というのが原義です。「必ず謹め」というのはどういうことかっていうとですね、「天皇詔勅」、言葉というかですね、「意思が示されたならば、必ずちゃんと身を引き締めて承らねばならない」と。つまりきちんと、ちゃんと耳を傾けて耳をかっぽじって聞きなさいというのが十七条憲法第三条の「承詔必謹」の本来の意味だったんです。ところが、大日本国、大日本帝国憲法、大日本国憲法、あれ、これ大日本帝国憲法ですね。失礼いたしました本当に。フリップが間違っておりまして、ここだけでネトウヨの皆さまからですね「不敬罪だ」というふうに言われますけれども、君たちが最も不敬罪だと、ケイザイ=エコノミクスじゃありませんよ、君たちが最も礼を逸しているというお話を本日はいたしたいと思います。まあ、以前からしているんですけれど。

これは何かというと、大日本帝国憲法を作ったときに拡大解釈をしたんですね。すなわち、「承るというのは拝聴する」と、ここに書いてある。それではどうも都合が悪いというので「天皇の命令を受けたならば必ず従えという意味だ」というふうに天皇ではなく周囲が言い出したということであります。そしてそのことによってですね、帝国陸軍のみならず、多くのメディアに至るまでですね、暴走してったわけでございますね。無論、天皇が全て決めることができなかったにせよ、天皇はきちんとそこでもっと体を張って発言をする、あるいは、国民に対してもそれを告げるべきだったかどうかというところは議論の分かれるところであります。しかし、大日本帝国憲法という名のもとでですね、「天皇の命を受けたらば必ず従え」と言ってた人たちがいたということでございます。で、敗戦をいたしました。何百万という多くの方々が亡くなり、そして沖縄の方々は本土決戦を控える前のですね、何か防人のような、防人ではないですね、先兵のように扱われてしまったということであります。

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続いて、どんなことが世の中においては起きたのか。ご存じのようにですね、1945年9月27日、現在のホテル・オークラの向かい側にある駐日アメリカ合衆国大使館の大使公邸に昭和天皇が赴きます。この時は連れの者もですね、皆、控えの間に留め置きですね、通訳とダグラス・マッカーサーという、ポケットに手を突っ込んでんだか後に手を結んでんだか、よくある中国料理店でですね、手を後ろにこういうふうにしてサーブをするというのは、もう一方の手で使わないということなのか何なのかわかりませんけれど、昭和天皇と(写真を)撮ってると。この時に起きたことが何だったかというと、「承詔必謹・しょうしょうひっきん」というのは「天皇の言葉を慎んで承る」、それが第1の変化としてですね「天皇の言うことは全部聞け」と。それが、実は「承詔必謹」という詔勅を出すということはここで終わってしまって、敗戦と共に終戦詔勅で終わってしまう。続いて出てきたのは占領軍である、戦勝国である、後に「同盟国」などという言葉になっていくアメリカが、「承詔必謹」を出すようになったということです。そしてそれに対して日本は「承詔必従(しょうしょうひつじゅう)」をするようになってしまったということであります。ここが、最初の意味合いから2番目3番目の意味合いになってしまっているということであります。では、もともとの本来の大日本帝国憲法を崇め奉る方々からすると、これを言うと番組でですね、ワラワラと湧いてきた人たちは「べつに俺は憲法改正というのは大日本帝国憲法っつってるわけじゃねえよ」っていう。もともとの自民党の草案には、天皇を元首とするって書いてあったんですよ?違いますか?じゃあ、元首となる天皇今上天皇はどんな言葉をお話になっているかということを、これは慎んで承るのではなくて、必ずこの意見に従うということを「憲法改正論者」の皆さんはご納得いただいた上で、声高に御発言されているのでございましょうかっていうことになるわけでございます。

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平成13年、2001年、私が知事になったちょうど1年後くらいでございますね。ワールド・カップが日韓合同開催をすると。その頃は「日韓合同開催かよ」なんて言っててもですね、日比谷焼き討ちのようなこととかですね、とんでもないようなものはなかったんですね。たった10数年、20年弱の中でコロリと変わっててしまったということでございます。「私自身としては 、桓武(かんむ)天皇の生母が百済の武寧(ぶねい)王の子孫であると続日本紀(しょくにほんぎ)に記されていることに韓国とのゆかりを感じています」と。「私自身としては」という、私という「I」というのを主語として、今上天皇は述べているということであります。そして続いて平成25年、2013年のことでございます。12月が誕生日でらっしゃるので、だいたい12月に会見をされるわけですね。これは会見で述べられた内容であります。「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました」。これも「日本」が主語になっているということであります。戦勝国が主語になってはいないということでございます。とするならば、この「承詔必謹」、「天皇の命令を受けたならば必ず従え」というのが、と思ってた方々はこれにどうされるのか?ということです。そうでなくとも、もともとの第十七条憲法でも「必ず謹んで承る」というのは「耳を傾ける」ということです。ところがどうでございましょうか皆さま、こういう言葉に耳を傾けるのは、本来は、元来は天皇制ということに懐疑的であったはずのですね日本共産党の皆さまであったり、そうした方々が「このご意見、おっしゃるとおり」、おっしゃるとおりというよりも、「僕ちゃんの考えと同じだな」、「僕ちゃんの歴史認識と同じだな」と述べているわけですよね。そして「天皇制というものが日本の国柄だ」とおっしゃってる方々に限ってですね、「とんでもねぇ」とおっしゃってるわけです。それは不敬罪になるんじゃございませんか?ってことです。いや、不敬罪になるかならないかは別として、ならば体を張って自分の意見を述べよということでございます。まるでですね、殉死をすること、あるいはお国のために命を投げ出すことが美しさであるかのように語ってるような人たちがいる。そういう中で連続テレビ小説わろてんか』もですね、あるいはこの間ずっと、『やすらぎの郷』からですね『トットちゃん』からですね、そして『越路吹雪物語』に至るまでテレビ朝日というものは、番組審議会の長のご意見とは異なる形でですね、ある意味では、大変な、静かな反戦というか、嫌戦のドラマをNHKテレビ朝日も作ってるわけでございまして、このあたりのことはもう少しきちんと評価してあげるべきだと私は思います。いずれにいたしましても、こういう言葉を、自分と考えが違うからといって「陛下、そのお考えはいかがでございますか」ということも産経新聞の『正論』に書くことなく全く黙殺をしている。しかしながら「天皇制は大事である」などとおっしゃってるひと達は、これこそがですね美濃部達吉氏も真っ青なご都合主義の天皇機関説だということであります。このことに本来の保守は、そんなようなことはですね、恥じて行うべきではなくですね、そしてそのことをきちんと『月刊日本』のような雑誌が述べてるのに、ちっともそのあたりのことを聞こうともしていないということでございます。さて、「承詔必従(しょうしょうひつじゅう)」になってしまった日本。でも「承詔必従」のですねアメリカの側はどういう考えであるか?もちろんそうでない方々もたくさんアメリカにはいらっしゃいます。

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しかし皆さん、日米安保条約の生みの親と言われているジョン・フォスター・ダレス、彼の弟はですねCIA長官としてですね、極悪非道なことをいろいろ行ったとも言われています。ドワイト・D・アイゼンハワーという比較的まともであった大統領の下で国務長官だったんでございます。これは以前にもお見せしたかと思います。わかりやすく、もう一度書きました。「日本国民は、アングロ=サクソン民族のエリート・クラブ正会員として扱って欲しいという強い願望を抱いている」つまり「名誉白人」ということですね。南アフリカ共和国における、本来私たちはカラードであるはずで、そのカラードであることを”black is Beautiful”と同じような意味合いにおいてですね、インド人もカラードと呼ばれている、マレー人もカラードと呼ばれてると。私達も同じアジアの一員として、そしてネトウヨの皆様の理論でいうところの「アジアを開放した我々」としてはアジアと同じ名誉白人などというそんな不本意な場所ではなくて、辱めを負うような場所でなくてカラードとして扱ってくれというのが筋じゃございませんか?筋を通すのが本来の保守でございます。で、このジョン・フォスター・ダレス、「日本人のレイシズム」、レイシズムってのは人種差別主義ということです。日本人はどういう人種差別主義を持っているのか、国内にもたくさんあります。まるでですね、技能実習生等と称してですね、安い賃金で使っていると。除染の場所にまで、契約にないのに連れてってしまうというのもありますけれど、言い換えれば「欧米への劣等感を日本人は持ってんだ」と。このジョン・フォスター・ダレスは日米安保条約を作ってくれたんで素晴らしい人と思ってるのにこんなふうにせせら笑っていたわけです。他方で「アジアにおける近代人は自分たちのみ」で、つまり日本人だけだと。「中国人や朝鮮人、さらにロシア人よりも優越してると自惚れる日本人」。その日本人を小馬鹿にしてるってことですね、白人は。上から目線で見てるってことです。「その相反する屈折した感情=アンビバレンス、どっちつかずな気持ち、これを巧妙に利用しよう」と。「そうすれば日本国民は我々白色人種に隷属し続ける一方、アジアの黄色人種の中で孤立し続ける」と言ってるんです。「ふざけんな」って思われるか、「いやさすがに痛ぇこと言われちゃったな」って思うか、だからこそアメリカにおべっか使おうじゃなくて、だからこそ我々はアメリカと対等に話せるようになってこそ真の同盟国だと、それは軍備があるとかなしって話の以前のところでございます。だって「思いやり予算」を払っているわけです。これに関して、実は私だけじゃなくて徳大寺有恒さんとかが以前に述べた「日本って本当に黄色いバナナだよね」と。美容整形したからといって黄色い肌は変わらない。でも中はみんな白いバナナになっている。つまり「外側は、肉体は黄色人種なれど、精神は白色人種のふりをしている、これが名誉白人で黄色いバナナです」ということを書いたら、これもすばらしい香ばしいツイートが来て「こういう差別的な発言ををお前はするのか」って、「お前だろ」って話でございます。どれだけ君たちは同じアジアのカラードの人たちに対して差別的発言をしてきたのかっていうことなんでございますね。

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こういう状況の中においてですね、昨日も申し上げたように、アメリカの鉄鋼製品、韓国の2分の1しかアメリカに出していないのに、日本への関税が評価関税の適用除外というのならない。多分、4月に訪米をすれば許してくれるんじゃないかってそんなに屈辱的でどうするんですか?「100パーセントアメリカと日本は共にある」って言ってきたんじゃないですか?100パーセントじゃないじゃないですか。韓国以下に見られちゃってるってことでございますよ。カナダ、ブラジル、アルゼンチン、韓国、メキシコ、EUという、この地域の中に入れられていないということになってるわけでございます。で、この問題に関しても全く言えないでいると。経済産業大臣外務大臣も何も言えないということになると「一体、自我はどこにあるのか?」ってお話になってくるかと思います。で、こうした形、安倍さんのために良かれと思ってしているようなことが、結果的には安倍さんも自民党も日本国民のこともですね、毀損しているということにエセ「保守」の皆さんは、エセ「保守」マンセーな皆さんは気が付かないといけない。この問題に関しまして、明日日曜日もですね、続けてお届けをいたしますので、乞うご期待くださいませ。モーニングCROSSの動画は明日までご覧いただけますし、文字起こしの方も順次用意をさしていただいております。そして「承詔必謹」という私の原稿もですねご覧いただければと思います。

 

 

18/4月号 田中康夫の新ニッポン論57「承詔必謹」◆月刊VERDAD-ベルダ(クリックで拡大)

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参考資料
「承詔必謹」の深意を忘れた日本人―1945年 田中康夫
「文藝春秋」2012年新年号 特集「日本はどこで間違えたかーもうひとつの日本は可能だったかー」

http://www.nippon-dream.com/wp-content/uploads/320daaa84f0192f2baf2ec1040c8e80b.pdf
http://www.nippon-dream.com/?p=6480
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/254

ローマ法王の容赦なき警告」 田中康夫
「文藝春秋」2014年6月号 超大型企画「安倍総理の「保守」を問う」
http://tanakayasuo.me/archives/19903
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/1022

平成13年「脱ダム宣言」巨額公共事業で地元は潤わない 田中康夫
「文藝春秋」2016年1月号 大型企画「日本を変えた51大事件」
http://www.nippon-dream.com/?p=15883

「脱ダム政策の哲学と実践」~やめればいいのではなく、新しい治水のあり方を示す~
http://tanakayasuo.me/archives/19549

VERDAD」間違いだらけの日本の治水・治山
http://tanakayasuo.me/archives/21007

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