2016年11月29日 TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう一直線 今朝のニュースピックアップ 五輪会場見直し4者協議」 電話ゲスト 田中康夫


(今朝のニュースピックアップはAM06:03頃~)

[生島ヒロシ]今日、ニュースに触れて頂くのはね、「硬派も軟派もかかってこいや」というね、作家の田中康夫さんですね。康夫ちゃん。
[田中康夫]はい。よろしくお願いします。
[生島]よろしくお願いします。
[田中]はい。
[生島]ASKA容疑者、また逮捕ですよ。
[田中]うーん、やっぱりホントに恐ろしい覚せい剤ってのは抜けられないんだね。だけど、ハイ状態の(彼の)ブログとか見ると、逆に不幸中の幸い・・・(もちろん)とんでもない話なんだけど、これがね、他の人を殺(あや)めたりとかって事にまでなっちゃったら取り返しがつかない事なんで・・・。だけどこういうのはあれだね、保釈とかそういうのじゃなくて、やっぱりちゃんとした施設にね、ダルクとか(民間の活動に頼り切るの)ではなくてもっと(きちんと国が)なんか(更正施設を)作らないといけないんだろうね。
[生島]いや、ホントそうです。現実対応としてはそういう事ですよね。
[田中]ええ。
[生島]さて、今日は大変注目されているのは、例のあのオリンピック会場問題ですけど、今日午後に4者会合が行われるようですよ。
[田中]うーん、ただねこれ、結果的に小池さんは「これで300億、400億節約しました」って言うのかもしれないけど、一般からすると、もちろん、オリンピックの不透明なところのパンドラの箱を開けたのは良いんだけれども、なんか結局、騒いだだけで、で、「400億円、300億円削りました」って言っても、日本の国全体の借金は一時間にね70億円ずつ増えているんだから。そうすると「5、6時間分ですか」って話になっちゃうし。

[生島]そうか・・・。
[田中]こないだの、(豊洲移転問題と)オリンピックは直接関係(は)ないかもしれないけれども、職員の処分を出したけど、聞くべきはやっぱり(知事を務めた)石原(慎太郎)さんと(副知事と知事を務めた)猪瀬(直樹)さんであって。
[生島]そうそう。うん。
[田中]で、(先週発表した幹部職員の)処分が早いかどうかよりも豊洲だって一体どうなるの?って話ですよね。
[生島]そう。うん。そこだ。
[田中]で、こないだ僕、新聞にもインタビュー受けたんだけど、長野の時も私がほら、長野市が(開催都市として冬季五輪を)主催したんだけれども、(その私が)知事になった2年後には県の借金の利息の返済だけで1日1億4800万円もあったわけよ。

[生島]えぇ?!
[田中]だからやっぱり、もちろん、五輪は素晴らしい事なんだけど、こういう一過性の大イベントってのは必ず反動というかね、リバウンドがあるんですよね。
[生島]うんうんうん。

[田中]で、元々、ダムを全く作ってなかった所に、私が「『脱ダム』宣言」出した時に「いや、もうここは既に200億円使ってます」って言うの。長野市の上の方のね計画の所。400億円の計画が眠ってたんだけど「上の方のボブスレーリュージュの会場に行く橋もトンネルも無いや」って言うんで200億円、ダムのね調査もしてないのに200億円先に使っちゃってたと。だから事程左様に、大きなイベントはオリンピック予算だけじゃなくて、もちろん、道路関連予算でも出てこないんでこうやって捻り出すみたいなね。
[生島]うーん。
[田中]そして、それが終わった後、借金になってっちゃうから。うーん・・・。で、僕はやっぱり、今回のオリンピックも国威発揚みたいな事を言う人がいるけど、そりゃ、前回の(1964年の東京)オリンピックはそうかもしれないけれど、やっぱり国威発揚的なのって、悪しきヒットラーが・・・。実は聖火リレーってのもヒットラーが初めて始めたんですよ。

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[生島]ええ?!
[田中]そしてあの時、初めて、限られた(視聴台)数だけれど、テレビで生中継したのもヒットラーのあのベルリン大会なんですよ。それまでは競技場と開会式は別の場所だったのを、開会式を競技場でやって国威発揚にしちゃったわけ。
[生島]ああ・・・。
[田中]で、僕は建築家の磯崎新さんていう世界的な方も言ってるんだけれど、むしろ競技場の十万人の(観衆の)人達よりも、ネットも含めて全世界の人達の何十億人が見た時に「あっ、日本でやってるんだ」っていう事をね、開会式で感じて貰うのは、僕は逆に皇居前広場に日本の間伐材を匠の人達が使って仮設のステージを作ってね、そしたら向こうに旧江戸城の堀や石垣や矢倉や松林も見える所で歩く。

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 (日本外国特派員協会 2014.11.19 磯崎新 大橋諭(ザハ・ハディド・アーキテクツ) 記者会見)

✽「『国威発揚』と『商業主義』から脱するオリンピックの新たな伝説=レジェンドを」 「サンデー毎日」連載「ささやかだけど、たしかなこと。」2015年8月9日号

✽「2020東京オリンピック」月刊「VERDAD」連載「田中康夫の新ニッポン論」2015年8月号>

[田中]だってあそこは、今の陛下の即位10年の時(1999年(平成11年)11月12日『天皇陛下御即位十年をお祝いする国民祭典』)にあれだけ多くの人が集まって会場にしたんだから、十分出来る。なんか、こういう造作の「造」じゃなくて創造の「創」のオリンピックをね、日本は発信するっていう。是非それは、競技場をちゃんと作るだけじゃなくて、そういう発想の転換が必要だなって思ってますけどね。
[生島]いやあ、それは素晴らしいと思う。それでね、今、例えば色んなトンネルだとか道路とか、つまり、前のオリンピックの時に作られたものがどんどんどんどん経年劣化してるじゃないですか。
[田中]はい。
[生島]それの見直しに、また色んなコストが掛かるって事で、それも問題になってますよね。
[田中]そう。だから元々、通常の公共事業も、例えば、道路を作るのも村道を作るときは65%国がお金を出すんですよ。だけど、維持管理ってのは全部自治体任せなのね。
[生島]ああ・・・。
[田中]「東京は今まで財政が豊かだ」って言うかもしれないけれど、建物を作った後の維持管理の費用ってのも、今回のようなオリンピックを契機にね、国家的事業を契機に負担のあり方を抜本的に示す。でも同時にそれを国に提案出来るという意味においても小池さんは今やってるような、築地と豊洲の迷走とかだけじゃなくて、具体的なヴィジョンをね、出して欲しいと思いますよ。

[生島]今日は康夫ちゃんが仰ったような事をねプレゼンテーションする事の方が国民の皆さんが納得するんじゃないかな。
[田中]だと僕は思うの。だって日本の国土面積って三分の二が森林で、フィンランドに次ぐんですよ。そしたらやっぱり間伐して、そのままになってるような木を使って皇居前広場でステージを作る、あるいは、私が長野の時に国交省も協力してくれたんだけど、鉄と同じ強さの木製のガードレールを皇居の周りの内堀通りだけでもね、奥多摩の木を使って作るとかだけでも「京都議定書を結んだ国ですね」って。

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[田中]あるいは「環境大臣やった小池さんですね」ってなるんだけど、なんかそこにいかないでホントに小さなところで争点作りしてるけれども、都民が願ったり国民が願ったりってのはちょっとそこじゃない気がしますけどね。
[生島]ね。「納税者ファースト」っていう事をまず考えて欲しいね、今後はね。
[田中]仰る通りですね。「Yurikoファースト」は最後で良いんだよね。「Yurikoファスト(fast)」で良いんだけど(笑)。
[生島]ははは(笑)。ありがとうございました。
[田中]どうも失礼します。
[生島]田中康夫さんでした。

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