2016年08月23日 FM YOKOHAMA「たまらなく、AOR」 セルジオ・メンデス/クリストファー・クロス/クインシー・ジョーンズ/ヴァンゲリス/エミリオ・サンチアーゴ

田中康夫 presents Fm yokohama 「たまらなく、AOR」ロゴ

昨日から今日へと、
曜日はJST日本標準時で水曜日へ。
一つ、前に進みました。

今週も、ようこそ「たまらなく、AOR」の世界へ。

1970年代半ばから80年代、そして90年代の初頭まで。
私たち、一人ひとりが、光り輝いていた時代の音楽。AOR

それは、所謂「イデオロギー」とは無縁の、
都会的で、洗練された、しなやかなメッセージ。
慎み深いディーセントな誇りを抱いて、日々、
世の中と向き合い続ける貴方の1日の終わりに、
クワイエット・ストームな癒(いや)しを、届けてくれる
「たまらなく、アーベイン」な音色。

AOR
それは、セピア色になりかけていた私たちの記憶のアルバムに、
ささやかだけど、確かな息吹を与えてくれる勇気と希望のメロディー。
それぞれの楽曲を聴く度に、一つひとつの想い出が、ほのかに蘇ってきます。

私たち一人ひとりは微力かも知れない。でも、決して無力な訳じゃない。
今晩は。田中康夫です。
5千枚あまりのYa’ssyレコードコレクションの中から
選(よ)りすぐりの楽曲を
ゆったりと、しっとりとお聴き頂く、
2年目を迎えた「たまらなく、AOR」。
クワイエット・ストームな今夜のプレリュードとしてお掛けするのは1984年、セルジオ・メンデス、Olympia。

 

M1. Sérgio Mendes – Olympia 1984


改めまして、Boa noite.田中康夫です。ただいまお掛けしたのは1984セルジオ・メンデス Olympia。バリー・マンとシンシア・ウェイルの楽曲です。この1984年は、第23回のオリンピックがロス・アンジェルスで開かれた年です。このオリンピックは、ある意味では地域が、ロサンゼルスもカリフォルニアもアメリカも中々お金が無いという事で、民間の資金を導入するという形が本格的に行われた最初のオリンピックです。それ以降、良くも悪くも商業主義のオリンピックが拡大をしていくわけですが、続いてお掛けするのは、1984年のオフィシャル・ミュージック・レコードの中からクリストファー・クロス、 A chance for heaven。そしてクインシー・ジョーンズ、Grace。2曲続けてどうぞ。

 

M2.Christopher Cross – A Chance For Heaven 1984


M3.Quincy Jones – Grace 1984

 

この1984年のL.A.オリンピック、聖火式典のテーマはなんと環境音楽フィリップ・グラス。そしてファンファーレのテーマはジョン・ウィリアムスが担当しています。それぞれ、例えば陸上競技ハービー・ハンコック、あるいはですね、バスケット・ボールボブ・ジェームスというような形です。そしてフォリナーがマラソン、そしてTOTOがボクシングのテーマを担当してるのですが、この2曲ともインストゥルメンタルなんですね。こうした中で、数少ないヴォーカルが入っているのがクリストファー・クロスのA chance for heaven。こちらは水泳競技のテーマ曲です。そして、続いてお掛けしたクインシー・ジョーンズ、Grace。こちらは体操競技のテーマですね。クインシーにしては珍しくリズム・セクションが無くて、エレクトリック・キーボードのみという楽曲です。私が思うに、オリンピックは4年に一度ですが、原点に戻って一度はギリシャアテネで行う。そしてその4年後には、例えば、日本が1964年オリンピックを行った事で、東海道新幹線が出来たり首都高速道路が出来たり、あるいは下水道が完備されていく。同様に、あるGDP以下の国に世界中が協力をして、世界中のゼネラル・コントラクターも協力をして街づくりをする、そこでオリンピックを行う。そして、もう一回は、ある意味では先進国と呼ばれる国々が、新たな施設を作るのではなく、今ある建物を、私達の骨を丈夫にしていくのと同じように改修をして行う。こういう、「オリンピック12年周期説」というのを述べてるのですが、如何でしょうか。
続いては1924年のパリ・オリンピックをテーマとした『炎のランナー』。この中からヴァンゲリスのChariots of Fire、1981年の作品。そして、今回のオリンピックの開催都市で生まれたエミリオ・サンチアーゴ、1982年。英語ではJust a songとなります、ポルトガル語でÉ só uma canção。2曲、どうぞ。

 

M4.Vangelis – Chariots of Fire 1981


M5.Emílio Santiago – É Só Uma Canção 1982


ギリシャ生まれのヴァンゲリス、1981年、Chariots of fireを最初にお掛けしました。この映画は、スコットランド人の宣教師エリック・リデルが1924年のパリ・オリンピックへと挑戦をしていく話であります。この彼は、その後宣教師として中国に渡りますが、満州事変が起き、そして山東省の日本が設けた敵国人収容所に彼は抑留され、そして死亡します。「汝の敵を愛せよ」という事を宣教師として謳っていたいたこのエリック。日本の映画の公開時には、映画の最後にこの彼が収容所で死亡する、この部分が日本には似つかわしくないという事で、音声も含めてカットをされるという歴史があります。
そして続けてお掛けしたのは1982年、エミリオ・サンチアーゴ、É só uma canção、Just a songという歌です。彼もリオ・デ・ジャネイロの生まれです。そして、今回のリオ・デ・ジャネイロのオリンピックの開会式を担当したのがフェルナンド・メイレレス。ファヴェーラと呼ばれる低所得層の地域を扱った『シティ・オブ・ゴッド』という映画、あるいはワクチンの会社の陰謀を暴いた『ナイロビの蜂』、そして伊勢谷友介さんと木村佳乃さんも出演をした『ブラインドネス』の映画監督でもあります。彼が描いた映画は、アマゾンの象徴される開発と汚染、世界の国が抱える光と影を表していました。そして、丁度広島に原爆が投下された8時15分の時間には、ポルトガルから、そしてアフリカから、そして日本からも日系人の人々が、アリアンサと呼ばれる、私も出掛けた入植地をはじめとする地域で地歩を固めた、その歴史も描かれていました。
4年後の日本のオリンピックの開会式、組織委員会の幹部は「日本のハイ・テクノロジーの技術を駆使した開会式にしたい」と述べていますが、でも、自動運転も人工知能も、ある意味では日本だけのものではない共有物です。むしろ、フィンランドに次ぐ66.6パーセントの国土が森林の日本が、どのような環境の世紀を語るのか、あるいは、どのような日本の文化や伝統を、真の意味で慎み深く、decentに語るのか。一過性のイベントに留まらない、私達の明日への希望を感じさせる開会式が問われているかもしれません。

今夜も私、Ya’ssy田中康夫の選曲でお届けしてきた「たまらなく、AOR
お聴きになりたい楽曲を始めとするご提案は

aor@fmyokohama.co.jp

お掛けしたAORの楽曲をジャケット写真と共に紹介するサイトも、
FM yokohama HPの番組紹介ページからどうぞ。

f:id:nippon2014be:20160726223028p:plain

私、田中康夫の新しい公式サイト http://tanakayasuo.me/ でも
更なる楽曲の余韻をお楽しみ頂けます。

「たまらなく、AOR」今回のエピローグは、冒頭にもお掛けしたセルジオ・メンデス1984年、The sound of one songです。こちらは昨年の11月24日にNovo tempo、新しい時代、軍政から開放されていくブラジルを歌ったイヴァン・リンスの曲を、作詞を、英語版をシンシア・ウェイルが担当をしています。可愛らしい子供達が登場してくる、まさに未来への希望であって欲しい、一過性に留まらない恒常的な私達の営みへと歌う1曲です。

来週も、火曜から水曜へと、またひとつ、曜日が前へと進む時間帯に、みなとみらい横浜ランドマークタワーから、あなたの元へ、クワイエット・ストームな音色を、お届けしましょう。1984年、セルジオ・メンデス、The sound of one song。

それでは、また。

 

M6.Sergio Mendes – The Sound Of One Song 1984

The sound of one song
Can be heard on the winds of this mornin'
It's a prayer that this world we were born in
Will survive until it can be ours

In the sound of one song
All the children of earth stand united
Now a candle of peace has been lighted
And its glow can be seen from afar
And its message outshines every star

This planet must understand
That we're a family of man
And we won't let tomorrow slip
Through our hand

Our voice will be strong
'Cause it comes from the heart and the spirit
And we sing so the whole world will hear it
And believe in the sound of one song

This planet must understand
That we're a family of man
And we won't let tomorrow slip
Through our hand

Our voice will be strong
'Cause it comes from the heart and the spirit
And we sing so the whole world will hear it
And believe in the sound of one song

The sound of one song
Can be heard on the winds of the mornin'
It's a prayer that this world we were born in
Will survive until it can be ours

In the sound of one song
La la lala la lala la lala
La la lala la lala la lala
La la lala la lala la laa
La lala la laa
La la lala la lala la lala
La la lala la lala la lala
La la lala la lala la...


f:id:nippon2014be:20160827024140j:plain

 

『たまらなく、アーベイン』田中康夫

たまらなく、アーベイン

 

 

 

 

 

ムーンウォーク --- マイケル・ジャクソン自伝

ムーンウォーク --- マイケル・ジャクソン自伝

 

 

 

ファディッシュ考現学(新潮文庫)

ファディッシュ考現学(新潮文庫)

 

 

 

恋愛自由自在 (角川文庫)

恋愛自由自在 (角川文庫)

 

 

サースティ (河出文庫)

サースティ (河出文庫)

 

 

 

H (河出文庫)

H (河出文庫)

 

 

神戸震災日記(新潮文庫)

神戸震災日記(新潮文庫)

 

 

昔みたい(新潮文庫)

昔みたい(新潮文庫)